夜のアクマ

アニメの感想を書いたり書かなかったりするところ

ボールルームへようこそ

2017年のアニメ。大まかには3部構成って感じかな。

やりたいことが見つからない中学生の主人公・多々良が競技ダンスと出会う。憧れの対象である凄いダンサー、ダンスに関しては先輩の同級生のヒロイン、そしてライバルとなる男。みたいな構図は、基本的な少年漫画のそれだ。で、この後、ライバルの男が負傷して脱落して、みたいな。順当な展開とはいえ、初心者の多々良が替え玉出場というのは、流石に話運びが雑なんじゃないかと思った。と、ここまでが第1部といった感じ。

次の赤城兄妹の話が、一番テーマとしてまとまっていた印象がある。多々良の母親が家族を捨てて家を去った過去と、ダンスのパートナーを他人から奪う話が重なったりとか。多々良はまだまだ実力不足だが、パートナーを映えさせることには成功した、という落とし所も無難だった。

高校に進学して、新たなパートナー、緋山千夏と出会ってからは、話を広げすぎて雑多な印象を受けた。多々良がダンスのことを家族にまだ打ち明けていない件は、そもそも秘密にする必要ももうないと思うだけに、わざわざこの件の解決に時間を割くこともなさそうだし、一方で解決させずに終わってしまったのもどうかと思ってしまう。

千夏と一緒にダンスを始めた明のエピソードは、才能があってどんどん上を目指していく人の陰で、置いてけぼりのようになってしまう普通の人の悲哀も思わせて、悪くなかったかな。後半のライバル的な存在である釘宮の話は、恩師の古いスタイルが否定されたとか、観客の目が嫌いだとか、ダンスを辞めようと思ったのにやっぱりダンスに戻ってきてしまったとか、いろいろ掘り下げてはいたけれど、最初に出てきたパートナーに対する思いやりのない言動に関しては、多々良もかなり嫌悪していたのに、それっきり特に評価もないまま終わってしまった。

あとは、ダンス中に過去の思い出を回想したり、子供時代の姿が現れる深層心理みたいな描写が、テンポを悪くしていた。観客席の清春が、ダンスの真髄はすべて把握しているとでも言いたげに、ご高説をのたまっているのも、かなり鬱陶しかった。