夜のアクマ

アニメの感想を書いたり書かなかったりするところ

ソードアート・オンライン

オンラインゲームの中に閉じ込められ、クリアするまで出られない。ゲームの中で死ねば、現実世界でも死ぬ。設定だけを見れば、それなりに面白そうに見えなくもないのに、実際は何一つ面白くないというアニメ。何が良くなかったのか。個人的にはオンラインゲームに興味がないというのが一つあるだろうか。オンラインゲームに詳しい人が見れば、もっと違った印象を持てたのだろうか。

とりあえず、このゲームの中では、何が出来て何が出来ないのか。何が出来れば「凄い」のか。この価値観がまったくわからないから、本当に見ていてつまらないんだよね。主人公が変わったスキルを持っていて、普通に戦っても役に立たないけど、知恵を絞って活躍する、みたいなのもまったくない。二刀流だからなんなの?結局、レベルが高くて強いスキルを持ってる奴が強いってだけじゃん。ゲームならそれでも楽しいのかもしれないが、アニメでそれやっても楽しくないんだよ。

途中で、仕掛け人のゲームマスターがプレイヤーとして参加していると気付いて、そいつを主人公が倒してゲームクリアということで第1部が終了するんだけど。これも、何が出来て何が出来ないのか、これを把握した上でなら、このキャラ怪しいな、とか事前に察したり、後になって正体に気付いてから、見落としてたけどあれが伏線だったんだな、とか。そういう楽しみ方も出来たんだろうけど、本当にこのアニメにはそういう部分が一切ない。どうしようもない。

主人公のキリトも全然面白くないキャラクターで。それでも他のキャラクターとの関わりの中でエピソードを積み重ねて深みが出てくるとか、そういうのも期待したくもなるけれど、基本的にキリトは単独行動してるから、あるのはほとんど使い捨てのようなゲストキャラとのやり取りだけ。それだけが原因じゃないとは思うが、本当につまらない。アスナというヒロインも出てくるが、最初はそんなに退屈なキャラクターでもないように見えたんだけど、キリトと付き合い始めてからは、やっぱり退屈なキャラクターでした、という。キリトのつまらなさが感染でもしたのだろうか。ユイってキャラクターも出てくるけど、「ジーンダイバー」でいうところのセルフィーみたいな感じ?違うか。キリトとアスナを「パパ」「ママ」と呼ぶという、まあ、こういうキャラクターもあるよねえ、という、これももちろんアニメのつまらなさに寄与しているわけだが。

第2部も基本的に同じ。いや、第1部は設定がそれなりに面白みがあったけど、こっちは囚われのアスナを救出する話で、設定すら面白くなくなっている。キリトの妹が出てくるけど、これもまたどうしようもないというか。実は現実世界のキリトは家族と血が繋がってなくて、みたいな設定が出てくるんだけど、その設定をここ出してきて何が面白いのかと。ゲーム内でのキリトの行動にはこういう背景があったのでした、みたいなことがやりたかったのかもしれないけど、これまでの話でキリトに全然興味が持てていないので、まったく効果がありませんでしたね。

最終回、現実世界でも刃傷沙汰になったのは意外だったけれど、それはともかく。敵を倒して新たな冒険へ。みたいな終わり方は別に構わないけれど、なんだか知らないが、今までに登場したプレイヤー達が仲間として一緒に行こうみたいなことになっていて。なんか、このアニメってそういう話だったっけ、という気が。キリトって戦闘が強いってこと以外に、あんまり一緒に冒険したい仲間という感じでもないと思うんだけどね。実際にオフラインでもキリトに会って、意気投合しちゃった、というのをあのオフ会の描写から読み取るべきだった?

DRAGONAUT THE RESONANCE

事故で両親と妹を失い、孤独だった男が、謎の女と出会い惹かれ合う。実は、その女は宇宙から来たドラゴンで、家族が死んだ事故の原因でもあった。二人が惹かれ合う感情も、ドラゴンと人間が「レゾナンス」したことで生じたものであって、本物の愛なのかどうか。といった要素とか、他にもドラゴンとレゾナンスした様々な人間たちのドラマが。

とはいいつつ、結局はバトル物って感じで、なんだか良くもなく悪くもないようなアニメ。前半は、いかにもな悪役が出てこないのが良いなと思っていたが、ハーシムという頭のいかれたタイプの敵が出てきて、ちょっといまいちだったり。最後は、みんなが融合して一つになれば良いという敵と、それじゃ愛し合うことが出来ないという主張で戦うような展開になって。愛することの意味とは、みたいな難しいテーマをぶち上げつつ、宇宙人に「人間は我々には理解しがたい、しかし非常に興味深い存在だ」と言わせるタイプの(そうは言ってないんだけど)決着となった。

26話のコミカルな特別編を見ると、登場人物も個性豊かで魅力あるじゃん、と思ってしまうが、本編ではいまいち生かされてなかったのかな、と思わなくもない。

とりあえず、女性の胸が大きすぎるキャラクターデザインは苦手。さすがに限度を超えてると思う。ドラゴンだからでかいのかと思ったら、人間でも容赦なくでかい人がいた。

僕等がいた

昔の恋人が事故死して傷ついている男子を、主人公の女子が聖女よろしく癒やしてあげる系の話だと思っていたけれど、そんな簡単な話ではなかった。

矢野本人は何の悪気もなく、高橋を傷つけるようなことをしてしまう。高橋とデートの約束をしているのに、山本の母親が倒れたからといって山本に付き添って病院に行くだとか。普通はそうはしないだろう、という悪手を選べてしまう。このあたり、矢野の生い立ち、家庭環境に影響されているんだろうなと感じる。

竹内の母と姉の会話で、矢野の母親は地に足がついてないだの言って、それを受けて、矢野の死んだ元彼女に似ていると言っちゃう場面は、なかなか強烈だった。もうこんなの、高橋の手に負えるわけがないし。誰も悪人がいないのも、むしろ残酷だなあと。奈々さんの元恋人くらいか、悪人は。といっても、高橋からしたら当然面識はないし、伝説上の人物みたいなものだが。

矢野の母親が再婚相手と離婚して東京に行くことになり、矢野は転校せずに残るかと思いきや、なんだかんだで母親について行くことなる。高橋が旅立つ矢野を駅で見送るところで終わり。このまま1年間、無事に遠距離恋愛を続けて、東京の大学に入学して再会する。なんて簡単なことにはならないだろうな。それも高橋の手に負えないレベルでの障害が発生して。と想像できてしまうから、余計つらい。

ソウルイーター

全51話。3組の職人と武器のコンビを中心に描かれる話。なんだか、結局は血筋が物を言うあたりは、少年漫画らしいところか。非常に強い最後の敵、鬼神を倒すのも、主人公マカの不屈の精神みたいな。

BLASSREITER

全24話。融合体と戦うXATのお話。途中までは、融合体とはどんなものなのかとか、「ブルー」ことジョセフは敵か味方か、みたいな感じ。後半には、「主人公が所属している組織の上層部の陰謀が明かされる」パターンと、「正義感の強い人が絶望して世界を滅ぼそうとする」パターンの両方が展開する。けれど、後者の要素が強すぎて、前者は曖昧になってしまったような。局長のやったことは酷いんだけど、そこに文句言ってる場合じゃなくなってしまって、消化不良感が否めない。で、前者の方も、そのきっかけであり、なおかつこの物語の重要な要素のはずの「移民に対する迫害」がどうもピンとこない。いや、なんでこんなに迫害されてるの?現代のドイツが舞台みたいなんだけど、ここだけ20世紀初頭みたいな、時代錯誤ともいえる違和感が。他にも、日本人らしき人も出てきて、広島出身だから迫害されてると当たり前のように語る場面もある。作り手が現実社会に対する強いメッセージを込めてこういう設定を盛り込んだのか、それともなんかそれっぽい悲劇を演出したかっただけなのか。どっちにしろ、雑だなあ、と思ってしまう。

悪い種子

1956年の映画。舞台劇っぽい雰囲気。8歳のローダちゃん、お利口な子供だと思ったら、欲しいものがあれば平気で人を殺せるサイコパスだったという話。同級生の溺死から、少しずつ明かされていく娘の恐るべき性質に、母親が神経をすり減らしていく。更に、自分が犯罪者の娘だったと知ったり、ローダに鎌をかけて脅かしていた手伝いの男が地下で焼き殺されたりしたことで、とうとう無理心中を試みる。まあ、失敗するんだけど。

犯罪者の血を引いているから、環境と関係なく幼い頃から罪を犯すんだ、みたいな説にはとりあえず否定的なのかな。母親はそう思わなかったようだけど。

で、最後のオチ。まさかの落雷。(今見ると)チープな特撮のせいもあって、笑ってしまう。天網恢恢疎にして漏らさず、というか、これがヘイズコードってやつか。更にエンディングではダメ押しの役者紹介で、「作り話だから本気にするなよ」とでも言いたげな茶化しっぷり。いやあ、お尻ペンペンで済むような話じゃないだろって。

放火後のローダが弾いていたピアノ曲。フランス民謡の「Au clair de la lune」。

白鯨

1956年の映画。モビーディックへ復讐しようとするエイハブ船長と、それを諫めるスターバック。スターバックさんの考え方は、動物への復讐は神を冒涜する行為だ、みたいなもののようだ。わかるようなわからないような。理解には聖書の知識が必要なんだろうか。モビーディックとの戦いで、エイハブが死んだ後、あんなに反対していたスターバックもモビーディックに突撃していくあたりは、海の狂気って感じ。特に目立った活躍もない語り手の男だけが生き残った。どこかしら冷めた雰囲気があったし、狂気に完全に飲み込まれなかったから生き残れたのかもな、と思った。