夜のアクマ

アニメの感想を書いたり書かなかったりするところ

プラネテス

作中の人物の価値観にあまり共感できないので、かなりつらい部分が多い。特にタナベが。3話「帰還軌道」の宇宙葬の棺が地球軌道に戻ってきたのをどう扱うかの話とか、本当にひどかった。一方、とても良かったのは7話の「地球外少女」。というか、15話くらいまでの一話完結型っぽい話だと、7話以外はいまいちなものばかりと言ってしまっていいかもしれない。

後半は木星へ行くフォン・ブラウン号の乗組員選抜と、宇宙開発に反対する宇宙防衛戦線のテロに関する連続性の高い話になっていく。宇宙開発の恩恵を先進国だけで分け合い、貧困国との格差が広がるばかりだという背景があって。

そんな中、ロックスミス博士が面白い。エンジンの事故でたくさん死者が出ようとも、ほとんど気に留めない。テロリストの主張もまったく意に介さない。ロックスミス博士は強烈なエゴイストとして描かれるが、それは否定されるどころか、主人公のハチマキも彼の考え方に同調する。(最後にハチマキと結婚することになるタナベの価値観とは相容れない気もするんだが、どう折り合いつけてるんだろう)

開拓者が人類の活動領域を広げ、文明をより高度なものにしていく一方で、弱者が蹂躙されていくのは、ヨーロッパ人のアメリカ大陸進出など、歴史を何度も繰り返すって感じなんだろうか。功罪あるけど(罪が大きすぎる気もするけど)、人間というのはそういうものだと開き直って進んで行くしかない、という主張があるとしたら、他の作品にはあまり見られない面白さだと思う。普通のアニメは、弱者に寄り添いがちだからね。